8月に近所で見かけた花をいくつか取り上げてみる。この小さな花は、ムラサキシキブの白実の園芸品種の花で、シロシキブ(Callicarpa japonica f.albibacca)と呼ばれる。ムラサキシキブ(Callicarpa jaonica)は、北海道南部から沖縄まで広く自生し、国外では朝鮮半島、中国、台湾に分布する。果実が紫色で美しいが、小さい花も淡紫色である。このシロシキブは、8月上旬に集散花序を出し小さな白色の花を咲かせていた。
こちらが9月上旬に白い実をたくさんつけたシロシキブである。紫色のムラサキシキブの実とは違った風情がある。
こちらの白い花は、ヤナギバルイラソウ(Ruellia simplex)の矮性種。キツネノマゴ科ルイラソウ属の多年草。1970代に沖縄に持ち込まれ、暖地を中心に自生する帰化植物となり、繁殖力が強いため現在は駆除対象になっている。開花時期は7〜9月。紫色が多いが、園芸用にはこのように白色で矮性のものも出回っている。
夏の花といえば従前、サルスベリ(百日紅)とキョウチクトウ(夾竹桃)が双璧だったが、最近、キョウチクトウ(Nerium oleander var.indicum)の赤い花はすっかり見かけなくなった。ようやく見つけたのは園芸品種の白色種。キョウチクトウはインド原産で、日本へは中国を経て江戸時代の享保年間(1716-36)あるいは寛政年間(1789-1801)に渡来したといわれる。庭園樹や街路樹に使われるが、強力な毒(オレアンドリンなど)が含まれる有毒植物でもある。
こちらのプランターに植えられているのは、アラゲハンゴンソウとマツバボタンである。アラゲハンゴンソウ(Rudbeckia hirta)は、オオハンゴンソウ属の越年草。北米原産で、戦前から北海道の牧場で知られていた帰化植物。近年では全国に分布している。マツバボタン(Portulaca grandiflora)は、南アメリカ原産のスベリヒユ科の一年草。年々種が零れて新たな花が増えるのでホロビンソウ(不亡草)とも呼ばれる。花色は赤、黄、白、オレンジ、ピンクなどで、八重咲き種もある。
こちらの花は、よく見かけるニチニチソウ(Catharanthus roseus)。キョウチクトウ科の一年草。マダガスカルを中心とする熱帯〜亜熱帯が原産。花色は白、赤、ピンク、紫、赤紫など。最近では青系品種も出回っている。
こちらの花がニチニチソウのピンク種。ニチニチソウは、開花期が5月から11月と長く、次々に咲くので「日々草」という。暑さや乾燥に強く、熱帯では多年草であるが、日本などの温帯では耐寒性が弱いため一年草として扱われる。
こちらの真っ赤な花は、よく知られたガーベラだが、ガーベラ(Gerbera)とは、ガーベラ属の総称で、狭義にはアフリカセンボンヤリ(Gerbera jamesonii)のこと。南アフリカ原産の多年草で、熱帯アジアやアフリカに約40種の野生種がある。ヨーロッパで品種改良され、園芸品種は2000種以上あるという。花色は赤、ピンク、白、黄、オレンジなど。
こちらの大柄な花は、アメリカフヨウ(Hibiscus moscheutos)というアオイ科フヨウ属の耐寒性宿根草。北米原産で、現地では川沿いなど湿地に自生している。ハイビスカスの一種で、乾燥に強い園芸品種が多い。一日花で、花色には赤、白、ピンクがある。
こちらの花が同じくアオイ科フヨウ属だが落葉低木のムクゲ(木槿、Hibiscus syriacus)である。中国原産で、平安時代初期までに日本に渡来していたと考えられている。『万葉集』では、秋の七草の一つとされる朝貌(あさがお)がムクゲだという説もあるが定かではない。
ムクゲの花色は白、ピンクなど様々で、このように底赤のものが多い。雌蕊の花柱は長く突き出る。花は一日花で、普通は一重咲きだが八重咲き品種もある。この花は「日の丸」という品種と思われるが、園芸品種は非常に多いので断定できない。
こちらの淡いピンク色の花は、南アフリカ原産のポドラネア・リカソリアナ(Podranea ricasoliana)というノウゼンカズラ科の蔓性木本。別名、ピンクノウゼンカズラという。花期は8〜10月。薄桃色の花の先端は5裂して平開し、内側にピンクの筋が入り、弱い芳香がある。全体的な色合いには濃淡に差があり、この花はかなり淡い色調である。
こちらの橙赤色の花もノウゼンカズラ科の花で、北アメリカ原産のアメリカノウゼンカズラ(Canmpsis radicans)という蔓性木本。ノウゼンカズラに似るが、花冠は橙色〜赤色で中まで同色、萼片は短く花とほぼ同色である。平安時代には日本に渡来していたという中国原産のノウゼンカズラは、萼片が長く緑色、花冠は橙赤色だが中が淡橙色と黄色味を帯びる。